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ギリギリセーフは「アウト」? 専門家が教えるハザードマップの活用法/楽待

2023/10/27 不動産投資

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ハザードマップは、「購入しようとする物件が、どんな災害に遭う可能性があるか」をイメージするために活用

土地が属する地形にまつわるリスクを徹底的に洗い出すのが、物件を購入して貸し出そうとする不動産投資家の役割になる

個人が不動産を購入し、投資活動を成功させるためには、その投資にどのようなリスク(資産が目減りしたり失ったりする可能性のこと)が隠れているかを十分に調べる必要があります。

 

このため、不動産購入時にはお金についてのリスクを低減することはよく考えられますが、その他のリスクにもきちんと目を向ける必要があります。

 

中でも今回は、「不動産を購入する前に、災害リスクを検討する重要性」についてお話しします。

 

災害リスクを可視化するツールとして「ハザードマップ」が挙げられますが、その読み解き方をきちんと理解できていますか?

 

プロとして28年以上地盤に関わってきた「地盤の専門家」の目線から、「不動産オーナーが注目すべきポイント」をお伝えします。

 

「保有物件が被災する」とはどういうことか

 

不動産を購入する前に、購入を考えている土地で、物件とその入居者が被災した時のことを考えてみましょう。なぜ、そんなことを冒頭にお話するかというと、その物件が資産としての価値を失う可能性があるためです。

 

例えば、洪水で自宅を含む周囲一帯が広い範囲で床上浸水すれば、河川近傍の住宅が、洪水によって押し流されてしまう可能性があるでしょう。

 

物件周辺が完全に水没すると、物件に近寄ることはできません。冠水面積の大きさにもよりますが、このような状態になると、入居者は2~3日は物件に戻れません。

 

避難所は暮らしやすい場所とは言い難いですが、そこで数日を過ごさざるを得ません。

 

被災して1週間ごろまでには、物件の復旧作業について考えていかなければなりませんが、小さな工務店では迅速な対応ができません。

 

修理に着手できるのは数か月後と言われる可能性もあります。気力が折れそうになりながら、保険会社や自治体に被害状況を報告するために、物件の状況を記録し、書類を作成することになるでしょう。

 

地震の場合でも、上下水道が復旧するまでは生活が困難になります。ただ、物件が無事であれば、入居者は避難所で支援を受けながら、物件で生活することができるでしょう。

 

物件が半壊した場合は、余震で倒壊する可能性があるので、避難所で生活せざるを得ません。入居者は、上述の水害の場合と同様の困難な生活を強いられます。

 

あなたが、購入を考えている物件で災害が起こった場合、入居者は上記のような苦難に満ちた生活を1週間から1カ月程度の間、強いられる可能性があります。

 

物件を探す場合は、まず、この視点をもって、どんなリスクに耐えられるか? 耐えられないか? ということを考えていただきたいのです。

 

災害によって発生する補修費用について考えておくことは不可欠ですが、その程度のリスク評価では、致命的な損害を被る可能性があります。

 

不動産物件に投資する場合は、被災の程度によっては、不動産物件としての価値が大きく棄損する可能性について検討しておく必要があるのです。

 

「ギリギリセーフ」は「アウト」かもしれない

 

講習会などで、ハザードマップを紹介していると、「私の土地はギリギリセーフです」というような感想を口にする人がいますが、ギリギリセーフは、アウトの可能性があります。

 

例えば地理院地図では、縮尺が2万5000分の1の地図がベースになっています。具体的にすると、200メートルの距離が地図上ではわずか8ミリメートルに収まってしまうということです。

 

多くのハザードマップでは、200メートル四方を1つのブロックとして被害データが取られ、その状況が図化されています。PC上で地図を拡大することはできますが、元となる情報はこの縮尺でしかありません。

 

200メートル×200メートルのマス目の中の浸水状況が、全く同じとは思えませんし、この程度の範囲では、地形も一定である保証はありません。

 

また、洪水ハザードマップの場合、対象としている河川によって浸水状況が異なります。小河川の場合、浸水リスクが評価されていないことが多くあります。そのため、ハザードマップに全てのリスク情報が掲載されているわけではないのです。

 

ですから、ハザードマップの情報を見て一喜一憂するのは止めましょう。

 

ハザードマップは、前述のように、「購入しようとする物件が、どんな災害に遭う可能性があるか」をイメージするために活用しましょう。

 

水害に関するハザードマップなら、浸水深を確認し、当該物件だけではなく、地域のどのあたりが浸水し、どのあたりが浸水しないのかを確認します。そして、災害時に、何が起こるかをイメージします。

 

例えば、私が以前住んでいた東京都墨田区は、荒川や墨田川が氾濫すると、区の大部分が水没します。

 

下水があふれ出すので、冠水から1日もすれば、辺りは異臭が漂います。安易に歩くと衛生的に問題がありますし、マンホールのふたが外れている可能性があるので、転落して死亡する可能性もあります。

 

ゼロメートル地帯なので、強制的に水を吸い出さないと水が引きませんから、復旧には相当の時間を要するでしょう。

 

このような状態では、物件が冠水していなくても、生活ができません。避難指示が出たとき、入居者は長期間家に戻れないことを想定して、避難所に逃げるか、地域外に脱出して様子を見ることが妥当な対応でしょう。

 

ハザードマップは、こういう災害時のシミュレーションをする際に、とても役に立ちます。

 

ハザードマップ、読み解くコツは「地形」

 

時々、「ハザードマップには色々なものがあって、何を見てよいのか分からない」という方がいますが、このような人は、ハザードマップを見る前提条件を変えましょう。

 

土地は、属する地形によって、遭遇する災害の種類が決まります。高台の地盤のよい地域であれば、冠水することもありませんし、地震時に地盤が液状化して住宅が傾くこともありませんが、低地では、洪水で冠水したり、地震時には液状化被害も発生したりします。

 

だから、「どのハザードマップを調べればよいのか?」ではなく、まずは「土地がどんな地形に属しているのか?」ということを、最初に考えるとよいでしょう。

 

そうすれば、見ておかなければならないハザードマップがどれなのかを判断することが可能になります。

 

国土地理院がネット上で提供する「重ねるハザードマップ」というサービスを使うと、確認がしやすいです。このサービスを利用すれば、対象となる土地で、想定すべき災害を同時に見ることができます。

 

マップを開き、任意の場所を指定すると、「地形情報」と地形特有の「自然災害リスク」が表示されます。例として、神奈川県横須賀市の周辺を確認してみました。

 

すると、ここは「地すべり地形」で、土砂災害の危険があると指摘されています。そこで「土砂災害」のハザードマップを重ねてみると、「急傾斜地の崩壊警戒区域」を示す赤色が表示されました。

 

このように、地形情報とハザードマップをあわせて活用することで、地形に応じた災害リスクをしっかりと確認することができます。

 

保有物件が被災すると、物件が失われたり、物件の中で生活を継続できる状態に復旧するために多額の支出を必要としたりする可能性があります。

 

また入居者は、災害という非常に恐ろしい経験をした場所に、もう一度住む気になれないかもしれません。

 

こうならないために、土地が属する地形にまつわるリスクを徹底的に洗い出すのが、物件を購入して貸し出そうとする不動産投資家の役割になります。

 

 

 

 

参考元:【ギリギリセーフは「アウト」? 専門家が教えるハザードマップの活用法 |楽待不動産投資新聞 (rakumachi.jp)

 

 

 

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